2021年8月

中枢神経系の障害とリハビリテーション看護

残暑とは名ばかりの暑い日が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

回復期リハビリテーション病棟の患者様は、夏休みもお盆休みもなく、毎日リハビリに励んでおられます。

 

今回は、中枢(ちゅうすう)神経系の障害とリハビリテーション看護についてご紹介いたします。
中枢神経系の障害というと分かりづらいですが、簡単に言うと脳や脊髄の障害の事を指します。

〈中枢神経系の説明はこちらからご覧ください→

https://gakusyu.shizuoka-c.ed.jp/science/chu_2/seimei/sigekitohannou/tutawarusikumi

/noutosinkei/sinkeikei-1.html  〉

 

中枢神経系の主な疾患には、脳梗塞・脳出血などの脳血管疾患や脊髄損傷などがあげられますが、当病棟で最も多いのは脳血管疾患の患者様です。脳血管疾患では、脳の血液が詰まったり破れたりすることで、一部の脳細胞が機能しなくなります。

 

脳血管疾患の障害は、意識障害・失語症・嚥下障害・運動麻痺・しびれ・痛み・さらに便秘や失禁など、多種多様です。また、脳の損傷部位により症状が異なるので患者様一人ひとりで障害の出方が異なります。

寝たきりで自分で体を動かすことが出来ない状態の方、半身麻痺があり車いすを利用する事で活動できる方、一見どこも悪くないように見えるけれど失語があり言葉が上手く出ない方など、さまざまです。

 

回復期病棟では、一人ひとりの患者様に適したリハビリプログラムを考え、障害の改善にむけ医療、看護を提供させていただいております。

 

まず、入院当日に患者様の現在の状態を看護師、リハビリスタッフが確認します。手足の動き、麻痺の状態、起き上がり動作、しびれや痛みの有無、会話の様子、食事動作や飲み込みの状態、着替えやトイレの動作、尿便意の有無などです。

そして、その患者様が今後日常生活を送るために、どのようなリハビリや看護援助が必要かを決めていきます。

 

例えば、身体の右半身が麻痺して動かない患者様の場合、部屋ではベッドの左側から乗り降りできるように設定します。動く方の左手でベッド柵につかまって座り、左足を軸に立ち、車いすに移乗しやすくするためです。

車椅子を利用される方には、操作方法を指導しながら、一人で安全に使えるようになるまで付き添い、転倒防止に努めます。

食事の場面では、指先の力が弱くても持ちやすい、柄の太いスプーンや、すくいやすい形状のお皿をセッティングするなど、患者様が自分ひとりで食べられるよう援助します。また、栄養士や言語聴覚士と相談し、その方が食べやすい形状の食事を準備し、水分でむせやすい場合にはお茶やスープにとろみをつけて提供をします。

疾患により尿便意を自覚しにくい方は、食後等トイレに誘導をして、失禁せずに排泄できるよう試みていきます。

失語症で言葉の出にくい患者様には、時間をかけて言葉が出てくるのを待つ場合もあれば、反対に相手の言いたいことを察知して言葉をかける事もあり、一人ひとりの状況に合わせた援助を行っていきます。

 

 

リハビリテーション看護は、「見守る看護」と言われています。

ベッドからの起き上がり、靴はき、食事動作、車いす操作など、患者様が行えることはすぐに介助せず、近くで見守りながら自分で出来るよう関わっていきます。

 

長いリハビリ期間を経て、一人で起きられなかった患者様が自分の力で起き上がり、立ち、杖で歩けるようになるまでを間近で援助できることは、私たち看護スタッフにとってとても嬉しいことです。

 

残念ながら、大きな障害が改善されない患者様もいらっしゃいます。そのような患者様に対しても、安心して入院生活が送れ、現在の状態より出来ることが増えるようスタッフ一同看護に取り組んでおります。

 

 

次回は、「呼吸・循環器系の障害とリハビリ看護」についてお話しさせていただきます。どうぞお楽しみに。