排泄自己チェックについて

徐々に気温が下がり、秋めいてきました。季節の変わり目ですが、皆様お変わりなくお過ごしでしょうか。

 

さて、今回の回復期ブログのテーマは「排泄自己チェック」です。当病棟では、病棟内の移動を1人で行っている患者様を主な対象として排泄状況を記録していただいております。

皆さんは、ご自身が1日に何回トイレに行っているかご存じでしょうか。一般的な排尿の回数は1日に5~7回程度(日中の排尿間隔は約3~5時間毎)と言われています。ただし、高齢者の場合は、膀胱に尿を貯める機能が低下していたり、持病の影響により排尿回数は平均より多くなることがあります。

 

当病棟では、排尿、排便の回数を排泄自己チェック表(写真参照)に記入していただき、排泄状況を病棟スタッフだけでなく、患者様にも把握していただいております。排泄自己チェック表を使用している患者様からは、「今日は何だかトイレの回数が多い」、「お通じが緩すぎるから下剤を調整してほしい」などのご自身の記録やお通じの状況からいつもと違う様子を病棟スタッフへ伝えていただいています。このように排泄自己チェック表の使用はご自身の排泄状況からいつもと違うということを知るきっかけとなっています。

 

また、皆さんはご自身が何日に1回お通じが出ているかご存じでしょうか。便秘で悩んでいる方なら把握しているかもしれませんが、それ以外の方はあまり気にしていない方が多いことでしょう。一般的に3日以上排便がない状態が便秘とされています。排泄自己チェックでは便秘になっていないかについても病棟スタッフだけでなく、患者様ご自身も知ることができます。特にご自宅への復帰を目指す患者様の場合、退院後の排泄管理は大切です。入院中にその習慣をつけることは退院後に大いに役立つと言えるでしょう。

 

排泄自己チェック

  👈写真のように、

   排尿の場合は○

   排便の場合は●、

   両方の場合は◎をつけています。

 

当病棟の排泄自己チェック表のように紙に排泄記録を書くだけでなく、現在はスマートフォンのアプリにも排泄記録をつけるものがありますので、皆さんも一度ぜひご自身の排泄記録をしてみてはいかがでしょうか。

 

今回の回復期ブログは以上になります。次回の回復期ブログもお楽しみに!

病棟訓練*****自主トレーニング

今年の夏は危険な暑さが続き、残暑も厳しい日々です。皆様!くれぐれも体調には御注意いただければと存じます。

 

今回は病棟訓練・自主トレーニングについてお伝えして参ります。

 

回復期リハビリテーション病棟では、入院当日より年齢、疾患により1日3時間、1日2時間のリハビリを受けて頂いております。リハビリ時以外にも患者様の日常生活動作の能力向上、早期に家庭復帰を目指すなどの目的で、病棟訓練・自主トレーニングを実施しております。

初めに病棟訓練についてです。訓練内容は患者様により異なりますが、杖歩行訓練、スクワット、階段昇降がメインで、午前・午後に患者様と時間を相談し、看護師の付き添い・見守りで行っています。病棟訓練は実施する前に、患者様担当のセラピスト(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士を合わせた名称)より病棟看護師へ相談されます。その後、患者様同意のもとで、セラピストによる病棟内レクチャーを実施します。

 

翌日から「さあー病棟訓練開始です!」

 

今現在、病棟訓練を実施している患者様は、脳血管疾患、運動器疾患の患者様6名です。

病棟訓練中のA様(76歳)男性・・・「リハビリだけでは物足りない。自分のためだ。」

B様(82歳)女性・・・「リハビリの他、訓練すれば気持ちがいい。」

リハビリへの意欲がある言動ですが、注意する点があります。患者様が病棟訓練を重視するあまり、病棟訓練の疲労により、リハビリ室での訓練がおろそかになってしまう可能性があります。そのため、看護師は患者様の健康状態、疲労感の有無を確認しながら実施しております。また、セラピストと連携を取り合い情報共有し、安心安全に病棟訓練ができるように援助しています。

 

 

次に自主トレーニングについてです。早期に質の高い回復を目指す場合は、病棟訓練とリハビリの時間のみでは不十分であることも考えられています。

そんなときこそ!重要なのは、退院後を見据えた自主トレーニングです。

自主トレーニング中のA様(79歳)女性・・・「ねえ、後ろ歩きができるのよ。私もビックリよ。気持ちがいいわ。筋肉痛だけどね。」

  • ベッド上でできる筋力トレーニング(手足の筋肉を鍛えて強くする)
  • 立って行うストレッチ(硬くなった関節を柔らかくする)」
  • 歩行練習(歩く力を伸ばす)

など、自主トレーニングは多岐にわたります。

自主トレーニングについての説明は、セラピストから患者様へ行われ、看護師に情報共有されます。日々変化する患者様の身体の状態に合わせて、提供する自主トレーニングの内容を考え、見直ししております。また、自主トレーニングが退院後にも役立てられるように、退院後の生活を患者様と一緒に考えながら、1人1人の心身に合わせた自主トレーニングの提供を心がけています。

 

 

リハビリ室で行なっている訓練や病棟訓練、自主トレーニングにより、日常生活動作の能力が向上したことで退院への意識が高まり、「できることは自分でやろう。」「できることを増やそう。」と一歩先を見据えた行動に繋がります。

セラピストとの情報共有を行い、病棟訓練、自主トレーニングに携わりながら、患者様が充実できる時間を提供・支援して参ります。

 

 

回復期病棟のリハビリについて

日々厳しい暑さが続きますがお元気でお過ごしでしょうか。

前回の更新より大幅に間が空いてしまい申し訳ありません。

この夏、回復期病棟では新しいスタッフが加わり、病棟も更に活気づいています(^^)/

 

今月は、回復期病棟で行われているリハビリの種類について紹介させていただきます。

世間一般でリハビリというと身体を動かす、身体の不自由な所を強化するといったイメージがあるかと思います。

 

リハビリは大まかに3種類の内容に分かれています。

 

・理学療法士(PT)

・作業療法士(OT)

・言語聴覚士(ST)

当院では58名のスタッフが在籍しております。うち、理学療法士は34名、作業療法士は16名、言語聴覚士は8名となっております。数は多く感じると思いますが、病棟だけでなく、訪問リハビリも兼務しています。

では先程ご紹介した3つの療法士は何を担当して行っているのでしょうか。

 

・理学療法士

身体に障害がある人等の運動機能の回復や維持・向上を図り、自立した日常生活が送れるよう、医師の指示のもと運動療法を行います。

運動機能や筋力の向上を図るために、運動療法、物理療法(電気刺激、超音波療法)を行っています。患者さんそれぞれの状態に合わせて最適な運動・訓練を行い、運動機能の回復を援助して自立を促す役割を持っています。

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・作業療法士

身体や精神に障害のある人が日常生活・社会生活に復帰できるように、食事、着替え、トイレなどの日常生活の動作や家事、仕事といった本人の生活の中で必要な動作を訓練していきます。当院では、患者さんのニーズにあわせ、調理訓練や掃除、洗濯の練習も行っています。

理学療法士との違いは、理学療法士は肩や足などの大きい筋肉を動かせるようにリハビリを行う、作業療法士は、手や指先などの筋肉を使い、日常生活の動作練習を行っていると考えれば区別しやすいと思います。

 

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・言語聴覚士

ことばによるコミュニケーションや飲み込みに障害を持つ方を対象に、発声や飲み込みの訓練等を行っていきます。ことばのコミュニケーションの問題は、脳卒中後の失語症や発達の遅れ、聴覚障害など広くあります。当院では主に脳卒中後の患者さんを対象にリハビリを行っています。

 

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以上がリハビリの種類と主な業務の紹介でした(^^)/

 

職種は分かれていますが、患者さんの問題解決に向かって、医師、看護師、リハビリ、介護士、相談員などチームで一丸となって対応しています。

入院中分からないことがありましたら何でもご相談下さい。

 

次回は病棟訓練についてご紹介していきますのでお楽しみに。

 

 

回復期リハビリテーション病棟での入院生活

梅雨の晴れ間に夏の気配が感じられる頃となりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

 

さて、今回は入院生活についてお伝えしていきます。回復期リハビリテーション病棟での入院生活がイメージできることで、当病棟への転院を予定、検討している患者様・ご家族様の不安が少しでも軽減されればと思います。

 

当院の患者様は、ほとんどの方が他病院(急性期病院)からの転院となっています。脳梗塞や骨折などで急性期治療を受けた後は、安静期間があったことで体力・筋力低下がみられており、社会復帰や入院前の日常生活を目指して継続的にリハビリを行う必要があります。患者様はセラピストと毎日リハビリを行い(土日祝日も実施)、空き時間は患者様の余暇時間として病棟でも筋力トレーニングや歩行訓練を実施しています。他にも、病棟内レクリエーションに参加したり、読書や新聞チェック・テレビ視聴など各々余暇を過ごしています。入院生活の間に編み物や折り紙で素敵な作品を作製され、趣味を生かした指先のリハビリを実施している方もいます。日々の生活がリハビリになるため、トイレ・歯磨き・食事・入浴といった日常生活動作は、患者様の能力を最大限に引き出せるように病棟スタッフは援助しています。

 

当院のおもなしの取り組みとして、入院中に誕生日を迎える患者様にバースデーカードを差し上げてお祝いしています。皆さん大変喜ばれており、ささやかなプレゼントですが誕生日でもリハビリを頑張る気持ちになっていただけるようお渡ししています。

 

入院生活について大まかにお伝えしてきましたが、リハビリ内容や生活援助の様子は今後ブログで詳しくお伝えしていきます。

蒸し暑い日が続きますが、体調管理には十分気をつけて過ごしていきましょう。次回のテーマは「リハビリ(PT、OT、ST)」です。お楽しみに!

1年を振り返って

日中の気温が上昇し始めましたが、夜はまだ肌寒い日が続いています。皆様いかがお過ごしでしょうか。

 

今回は2022年4月に入職した看護師3名でブログの担当をさせていただきます。

1年目は覚えることが多く、戸惑うこともありました。しかし、同期や先輩のおかげで1日1日が充実していたように感じます。

そんな2年目を迎えた私たちの今回のテーマは「1年目を振り返って」です。

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私たちが所属する回復期リハビリテーション病棟では、患者様がリハビリを通じて社会復帰を目指しており、そのために必要な看護と支援について学び、実践する1年になりました。

現在の患者様の残存機能や社会復帰までの目標は、自宅退院か施設退院か、家族からの協力や利用するサービス、職場復帰の希望など退院後の生活環境によってそれぞれ異なります。入院当初から多職種・患者様・御家族と面談の場を設けて話し合い、場合によっては自宅にリハビリ・病棟スタッフが訪問する「家屋調査」を行います。そして、患者様の状態を踏まえて手すりの設置や介護用品の使用を検討していきます。

面談や家屋調査は患者様・御家族、病院スタッフの情報共有や意思疎通を図れる機会だと考えています。退院先について十分に意向を汲み取るためには、例えば自宅ではシルバーカーが使えるのか、杖や手すり歩行がいいのか、そこまでADLを拡大できない場合はどうしていくかなど患者・御家族が退院後の生活に具体的なイメージが持てるような情報提供が重要であることを学び、意識しています。

 

退院までの目標に向け、患者様はリハビリや病棟訓練に取り組んでいますが、様々な要因で意欲を失ってしまう方もいます。そこでも正確に思いを汲み取る力が必要となり、現状を改善するためには看護師だけでなく他職種も交えた対応が必要になることが多いと感じます。

私たちが関わってきた患者様の中に、手の痛みにより歩行がすすまない患者様がいました。それに伴い気持ちの落ち込みがある状態でした。また、コロナウイルスの流行による面会や面談の制限があり、不安も感じていたと思います。リハビリスタッフに相談し、本人に合った手の痛くなりにくい歩行器を選択してもらい、見かけた際は会話や声掛けをするよう心がけると、徐々に笑顔が増えてきました。笑顔が増えるにつれて歩行する回数が増え、自ら歩くようになり、「歩くのが入院中の楽しみになった。」と言ってもらうことができました。退院に向け、リハビリスタッフ・社会福祉士・栄養士などの多職種と情報共有や意見交換を行い、検討した患者様に合った支援をしました。無事に自宅退院を迎え、「あなたのおかげで楽しく頑張れた。これからも頑張って。」の言葉をもらえた時は、この病棟で看護ができて良かったと思うと同時に、これからも患者様が目標へと前向きにリハビリを行えるよう多職種で関わりたいと考えるきっかけになりました。

視点の異なる他職種と一つの目標に向けて意見を合わせていくことは大変なこともありますが、患者様と御家族から直接「ありがとう」と言ってもらえることが活力となっています。なかでも退院当日、病棟でお見送りする際に涙を浮かべながらも笑顔で退院される患者様を見ると感慨深いものがあり、看護師としてのやりがいと達成感があります。

 

患者様・御家族で退院後の生活に不安を持つ方も多いと思います。特にここ数年は新型コロナウイルスの流行により患者様と御家族が直接会って話し合える機会が減り、御家族は患者様の入院生活の様子をスタッフからの説明でしか得られないこともあるのだと1年間従事して感じました。また、日々関わっている患者様の気持ちに寄り添おうとは意識していましたが、御家族の気持ちに対しても寄り添えていたのかを考えると不十分であったかもしれません。

2年目は新型コロナウイルスも落ち着き、また状況が変わることもあると思います。そんな中でも再度患者様と御家族に寄り添うことを意識し、多職種と連携をとって看護をしたいです。また、後輩が出来る立場であるため、いままで学んだことや課題と感じたところも含めてこの病棟のやりがいについて伝えられたらと考えています。

これからも3人の同期同士で支え合いながら、4階病棟看護師として頑張っていきたいと思います。病棟